中央企画株式会社
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2019年08月21日
不動産相続

任意後見の提案方法と実務

最近メディアなどで批判されることの多い成年後見(法定後見)制度ですが、批判されている割には、法定後見申立数が減っていないことをご存知でしょうか?

法定後見は減るどころではなく、しばらく増える一方となる見込みです。

しかし、「法定後見の相談中に約3人に1人は任意後見をしておけばよかったという発言がみられます。今の法定後見の利用ご家族のうち、任意後見を知っていれば、任意後見契約をしていた可能性が高い」と語るのは、任意後見の第一人者である司法書士の勝猛一先生。

TAP実務家クラブ第41回定例会は
勝司法書士法人の代表社員、勝猛一氏による「任意後見の提案方法と実務」


法定後見と任意後見

最近話題の家族信託(民事信託)のベースともいえ、われわれ相続コンサルタントが家族信託を語る上でもしっかりと押さえておくべき「任意後見」ですが、残念ながら一般の方にはあまり知られていないように思います。

一般の方が「成年後見」と聞くと、それはイコール「法定後見」という認識、というよりはほとんどの方は、成年後見に「法定後見」と「任意後見」の二種類あるとは知らないのが現状ではないでしょうか。

「法定後見」「任意後見」それぞれ言葉で説明すると以下のようになります。

【法定後見制度】

「後見」「保佐」「補助」の3つにわかれており、判断能力の程度など本人の事情に応じて利用できる。家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等が本人の利益を考えながら本人の代理、同意、取消をすることによって本人を保護・支援する制度。

【任意後見制度】

本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自ら選んだ代理人(後見人)に代理権を与える契約を締結しておく制度。契約書は公正証書で行う。後見人以外に任意後見監督人も必要となる。


言葉だけですと解りづらい部分もあるかと思いますが、大変平たく言ってしまうと、法定後見は認知症になってしまった後に裁判所に後見人を選んでもらう制度、任意後見は認知症になる前の元気なうちに自ら後見人を選んでおくことが出来る制度、ということになります。

ここで何が問題かというと、認知症になってしまった後の法定後見の場合、ある程度の財産がある方の場合は、身内ではなく家庭裁判所から第三者の後見人(弁護士や司法書士等)が選任される可能性が高いということです。

そして、被後見人の全ての財産が家庭裁判所の管理監督下におかれ保全されることになるわけですが、ここで初めて、「こんなことなら成年後見(法定後見)をやらなければよかった」となり、先に述べたように「任意後見」を知っていればそちらを選択していたという言葉にも繋がるわけです。

※ちなみに、「ある程度以上の財産」とは管轄する裁判所によってその金額は異なるようですが、東京都内ですと凡そ500万円以上の財産があれば第三者の後見人が選任される可能性が極めて高い(すなわち身内は後見人になることが出来ない)と聞いています。

これは、法定後見においてはほとんどの場合で子供が親の貢献になることは出来ないと言っても過言ではないのではないでしょうか。

※法定後見のうち、「親族後見人」は全体の約23%だそうですが、ほとんど資産のない方(裏を返せば横領等の心配が必要ない)とのこと。



任意後見は頭(認知症)の保険?

「任意後見は頭の保険だと考えてはいかがでしょか?」
司法書士の勝先生のそんな言葉が印象に残りました。

医師より認知症と診断された際に保険金が給付される「認知症保険」なるものが各生命保険会社からリリースされていますが、ここでいう「頭の保険」とは生保会社の認知症保険とは意味合いが異なります。

認知症になると、例えば高額商品を何度も購入してしまったり、場合によっては騙されて不動産の契約をしてしまったりという話を聞くことがあるかと思いますが、そのような場合の金銭的な被害は計り知れません。

もちろん、司法書士等の専門家に依頼して任意後見契約を行う場合には報酬が必要です。
*専門家にもよりますが、初期費用として凡そ50万円前後
*任意後見開始後は後見監督人と合わせて月額5~6万円程度?

この金額が高いか安いかはお客様ごとに判断が分かれるところかと思いますが、先に述べたような金銭的リスク等を考えると決して高くないかもしれません。

また、注目したいのは、任意後見契約を行った人のうち実際に認知症を発症して任意後見を開始する人の割合は10%以下(年間約10,000万人が任意後見契約を行いますが、実際に発効するのは約800人程度)という数字。

「2025年問題」を控え、65歳以上の高齢者の5人に1人は認知症の時代の中で、任意後見契約を行った人は認知症となる確率が平均の半分以下ということになります。

これは、何らエビデンスがあるわけではありませんが、その傾向があるということは紛れもない事実として、そのような意味においても、任意後見契約をしておくということは「頭の保険」となるのかも知れませんね。


任意後見契約と家族信託のコラボレーション

最近話題の「家族信託(民事信託)」
ちょっとした信託ブームでもあり、家族信託は万能であるかのようなイメージを持ってしまいがちのなか、「信託ありき」で提案をしてしまう専門家も少なからず居るようですがそれは危険な考え方です。

また、成年後見制度に代わる制度として比較される家族信託ですが、そもそも比較するとするならば法定後見ではなく任意後見であるべきなのですが、その点からして履き違えられている感も否めません。
(本来は比較するものではない)


もし、相談者が以下のような状態だったら家族信託が有効かもしれません。

・収益不動産を所有していて、その家賃収入で生計を立てている。
(大規模修繕や建て替えなどの可能性)

・代々引き継いできた会社と不動産は男子(長男)に継がせたい

・じきに自宅を親族に売却したい。また、そのお金で高齢者施設へ入りたい。
(親族に売却したい場合、任意後見だと価格の妥当性を裁判所から否定される可能性もあり)

・大きな土地を持っていて活用も考えているが、まだまだ元気で先のことは分からない。このまま認知症になって相続が発生したら高額な相続税がかかってしまうかも。

・子供がいないので、夫婦二人で築き上げた財産はお互いに渡したい。
お互いが亡くなったら夫の血筋に渡したい。

などなど、特定の不動産の管理処分権限を受託者たる家族(長男等)に委ねたいといったケースにおいては家族信託が役立つ可能性が高いと言えます。

よく勘違いされるのですが、家族信託は不動産など特定の財産のみを家族間の契約に基づき柔軟に管理できるのです。(たいして、成年後見は全ての財産が後見人及び家庭裁判所の管理監督下におかれます)

※裏を返せば、家族信託した不動産等の財産は、認知症になっても後見財産からは外せるということです。

「信託ありき」ではなく、任意後見契約との併用(コラボレーション)を検討することも大切です。

※信託は任意後見を補完する仕組み



「不動産相続の相談窓口」の家族信託提案

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LIXIL不動産ショップ中央企画「不動産相続の相談窓口」多摩相談センターでは、東京多摩地区を中心とした不動産オーナー・不動産所有者様のための家族信託組成をサポートさせていただいております。

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どうぞお気軽に不動産相続の相談窓口へご相談ください。
(初回相談無料です)

「不動産相続の相談窓口」東京多摩センター

この記事を書いた人
田岡 浩一郎 タオカ コウイチロウ
田岡 浩一郎
東京都多摩市に店舗事務所を構える地域密着型不動産管理会社の経営者として、地元オーナーから預かる管理物件の収益最大化を目指すプロパティマネジメント(PM)を実践し、管理物件の全ての賃貸借契約において「再契約型定期借家契約」を導入。収益確定型のリノベーション提案、不動産経営の所有法人化支援など、不動産オーナーの賃貸経営リスクの軽減にも努めています。 また、不動産を中心とした財産管理(財産診断)・土地の有効活用・家族信託組成支援・不動産管理信託サポートなど、「不動産で揉めないための相続対策」サポートを展開中です! 節税に偏った相続対策(相続税対策)は「争族」の原因となりかねません。 皆さまが、「相続対策」=「不動産対策」であると気づき、正しい次の一歩を踏み出すためにお手伝いできれば嬉しく思います!!
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